2018年10月14日の礼拝宣教から

『秩序がもたらすもの』コリント一 14章26-40節

主幹牧師 津村春英

 パクス・ロマーナ(Pax Romana)という言葉があります。ラテン語で「ローマの平和」の意で、帝国支配によって国際秩序が保たれ平和がもたされたことを言います。第二次大戦後、長く続いたアメリカの国際支配パクス・アメリカーナは今、終焉を迎えていると言われます。


 さて、パウロは、混乱をきたしているコリントにある教会に対して、「神は無秩序の神ではなく、平和の神」(コリント一14:33)と言って、特に、異言と預言という賜物を語る者たちの、教会でのあり方を詳細に指導しています。それに続き、女性の、教会でのあり方を説いています。「婦人たちは、教会では黙っていなさい。婦人たちには語ることが許されていません。律法も言っているように、婦人たちは従う者でありなさい。」(同34)とありますが、現代社会においては、女性蔑視の暴言だと非難されることでしょう。尤もパウロは先のガラテヤ書では、「男も女もありません。あなたがたは皆、キリストイエスにおいて一つだからです」(ガラテヤ3:28)と書いていましたので、コリントの教会における女性に対するこのような言葉は、よほど大きな問題であったからなのでしょう。それは秩序の問題でした。パウロの結論は、「しかし、すべてを適切に、秩序正しく行いなさい。」(同40)でした。秩序がもたらすものは平和だからです。

2018年10月7日の礼拝宣教から

『造り上げる賜物』コリント一 14章1-25節

主幹牧師 津村春英

 今年もノーベル賞の受賞者が発表され、本庶佑(ほんじょ たすく)さんがノーベル医学生理学賞に選ばれました。そのインタビューで基礎研究の大切さを説かれ、医者としては何百人か何千人を助けることができるかもしれないが、基礎研究の成果により、何百万人の人が、自分が死んだ後も、恩恵を受けることができるのは喜びだと語っておられたのが印象的です。ノーベル賞受賞者の選定は、どれだけ多くの人に影響を与えたかが基準だそうです。


 コリント信徒への第一の手紙が書かれた時代には、教会で異言を語ることや預言を語ることが盛んになされていました。それらは霊の賜物と位置付けられていますが、現代でもこの様な賜物を強調する教会やグループがあります。そうではない教会では今一つイメージがわかないと思われますが、いずれにせよ、問題は、「異言を語る者が自分を造り上げるのに対して、預言する者は教会を造り上げます。」(14:4)にあります。また異言は、教会に来て間もない人や新来会者にとっては分からない言葉であるのに対し、預言は人々に自分の罪を悟らせ、神を見出させるとあります(同24、25)。つまり、預言は個人だけではなく、多くの人に影響を与えるというのです。預言とは、神によって与えられた言葉です。お互いの成長のために、真に神の言葉を語り合い、分かち合うことのできる教会でありたいものです。