「救いがこの家に」 ルカによる福音書19章1-10節
牧師 津村春英
新約聖書時代のローマ帝国の経済は、属州からの税収に大きく依存していました。それは直接税(土地税や人頭税(ルカ2:2の人口調査))と間接税(関税、通行税)で、その徴収を任せられていたのが「徴税人」でした。
ザアカイはエルサレムへの東の入り口の町エリコの徴税人の長で、たっぷりと私腹を肥やしていたのか、大金持ちでした。しかし、人生、これで終わっていいのかと悩んでいたようです(19:10失われていた)。主イエスが町に来られたと聞くと、背が低かったのでいちじく桑の木の上で待ちました。するとイエスが上を見上げ、「ザアカイ、急いで降りてきなさい。今日はあなたの家に泊まらなければならないから。」(同5直訳)と言われたのです。ザアカイは喜んでイエスを家に迎え、人々の非難をよそに、悔い改めと法外な感謝を示すと、イエスは、「今日、救いがこの家を訪れた。この人もアブラハムの子なのだから。」(同9)と言われました。家(オイコス)は建物でなく、家族を表し、アブラハムの子(ルカ1:55;13:16など参照)は救われなければならない存在を意味しました。キリスト者のすべての家にも、主の救いは届いているのです。信仰の襟を正し、家族の救いのために祈り励みましょう。