「天に富を積む」 ルカによる福音書18章18-30節
牧師 津村春英
戦争は領地問題が原因の場合が多いと思われますが、レフ・トルストイの短編「人にはどれほどの土地がいるか」では、人が手に入れたのは皮肉にも自分の墓の面積だけでした。では、私たちに必要なものはどれほどなのでしょうか。
ある議員(指導者)が主イエスに、「何をすれば永遠の命を受け継ぐことができるでしょうか」(18)と尋ねると、「あなたに欠けているものがまだ一つある。持っている物をすべて売り払い、貧しい人々に分けてやりなさい。そうすれば、天に富を積むことになる。それから、わたしに従いなさい。」(22)と答えられました。マタイ版の若者(マタイ19:20)に比べ、ルカ版は富める議員であり、長年苦労して蓄積した富=宝(セーサウロス)に執着するのは無理もないことだと思われますが、大切なものが見えていなかったのでしょうか。
私たちは、主イエス・キリストを救い主と信じることによって、捨てたものがありますか。受洗してからもう何年たっていますか。今は豊かになっていますか。物質的なことよりも、心が豊かになっていますか。来るべき世の永遠の命、天の宝は、単に死後の財産のようなものではなく、この世に侵入して(N.T.ライト)、信じる者の現在をも潤すのです(30)。