「へりくだる者は高められる」 ルカ福音書18章9-17節
牧師 津村春英
戦後80周年の全国戦没者追悼式の式辞で、石破茂首相は「戦争の惨禍を決して繰り返さない。進む道を二度と間違えない。あの戦争の反省と教訓を、今改めて深く胸に刻まねばなりません。」と言われました(NHKニュースなど)。かつて、ノーベル物理学賞受賞者の湯川秀樹氏も、知識階級の勇気と実行力の欠如が戦争の災禍を招いたことへの反省の念を語り、国民全体もまた、「強烈な意慾を持った精神によって圧倒されてしまった」ことを反省し、正しい批判力、良識と教養を身につける必要があると言われたそうです(岡田和弘「湯川秀樹と中谷宇吉郎~「文人科学者」たちの戦前・戦時・戦後~」、ねっとわーくKyoto Online運営委員会)。
主イエスは、自分は正しい人間だとうぬぼれて、他人を見下している人々に対して、「だれでも高ぶる者は低くされ、へりくだる者は高められる。」(14)と言われました。さらに弟子たちにも、「子供のように神の国を受け入れる人でなければ、決してそこに入ることはできない。」(17)と言われました。ここも「へりくだり」が求められているのです。ご自分の御子イエス・キリストの十字架を通して人々を救うという、神の謙遜の極みを理解することができないからです。