2021年3月7日の礼拝宣教から   

『救いは主のもとに』 詩編3篇1-9節

牧師 津村春英

現代数学で最も重要な難問とされる「ABC予想」(整数の足し算と掛け算、その二つの演算の絡み合い方に関する問題)を証明したとされる望月新一京都大学教授の論文「宇宙際タイヒミューラ理論」が学術誌に記載されることが話題となっています。私には理解する能力はありませんが、人生における「救いとは何か」も、難問中の難問です。どのように解きますか。

ダビデ王がその子どもたち・異母兄弟間に問題が発生したときにどのように解決しましたか。「ダビデは激しく怒った」(サムエル記下13:21)、「ダビデは衣を裂いた」(同13:31)とあるだけで、何らアクションをとっていません。事件の当事者である息子アブシャロムはやがて疑心暗鬼に陥り、ついにダビデに殺意を抱き行動に出ます。ダビデは哀れにも都を後にして頭を覆い裸足で逃げるのですが、詩編3篇はその時のダビデの心境を歌ったものだと言われます。ダビデは今までに経験したことのない「どん底」の孤独の中で歌い祈ります。「主よ、それでも/あなたはわたしの盾、わたしの栄え/わたしの頭を高くあげてくださる方。」(3:4)「救いは主のもとにあります。あなたの祝福が/あなたの民の上にありますように。」(3:9)と。これは自分自身の祈りであり、とりなしの祈りでもあり、また、すべての問題の解答なのです。