2020年9月6日の礼拝宣教から

『人生は神の賜物』コヘレトの言葉3章1-15節

牧師 津村春英

  聖書には、「何事にも時があり/天の下の出来事にはすべて定められた時がある。」(3:1)とあります。「定められた時」は原語ヘブライ語でエート(ギリシア語訳でカイロス)の一語で、ちょうどふさわしい時であり、ある時点を示しつつ、長く続くことのない時を意味しています。今はコロナ禍の中にある時です。しかし、「神はすべてを時宜にかなうように造り、また、永遠を思う心を人に与えられる。」(3:11)とあるように、永遠という尺度で物事を見るように奨められています。コヘレト(1:1、集会を指導する者、伝道者の意)は言います。「わたしは知った/人間にとって最も幸福なのは/喜び楽しんで一生を送ることだ、と」(3:12)つまり、人生は神の贈り物なのです。

 わたしたちのこの人生は、わたしにしかない、他の人が経験できない、他の人とは違う人生です。素晴らしい人生を与えていただいたことに感謝しましょう。そして、神を畏れ敬いながら歩みましょう(3:14)。「人生は刺繍を裏から眺めているようなものだと思う。糸が交差し、もつれあい、結び玉があり、混沌としている。しかし、表に一幅の絵が織りなされるために、その絵が色彩よく、精巧なものであるためには、それだけ、裏面は複雑でなければならないのだ」(渡辺和子『愛をつかむ』)。