「神のものは神に返しなさい」 ルカ福音書20章20-26節
津村 春英 牧師
律法学者たちと祭司長たちが連立して、主イエスに罪を着せるため、「皇帝に税金を納めるのは妥当であるかどうか」というひっかけ問題をイエスに提示したので、イエスは、税金に用いられるデナリオン銀貨を見せるように言われました。実はその表面には皇帝の肖像画と「皇帝アウグストゥス・ティベリウス、神君アウグストゥスの息子」という銘があり、唯一神を信じる者たちには耐えがたいものでした。彼らは仕方なしに、「皇帝のものです」と答えると、「それならば、皇帝のものは皇帝に、神のものは神に返しなさい。」(25)と言われました。「皇帝のもの」は皇帝に属するもの、皇帝のためのもの(いずれも複数)を意味しますが、「神のもの」とは何でしょうか。文脈的には神の宮である神殿から商売人を追い出したことや、小作人とその主人(神)の話と響き合います。
では、私たちにとって、「神のもの」とは何でしょうか。私たちの持ちもの、食べもの、周りの人間関係もすべて神から恵みとして与えられているものです。その最たるものは主イエス・キリストによる罪の贖いです。宗教改革者M.ルターは、「クリスチャン生活とは恵みの下にある生活である」(cf.WA40.1.164)と教えています。心から感謝をもってお返ししたい(cf.テサロニケ一5:16-18)。