2024年7月7日の礼拝宣教から

「若者よ、起きなさい」 ルカ福音書7章11-17節 

津村春英牧師

 東北大学教授の青木俊明氏は、コロナ禍により、「広薄型の社会」になり、10年後、20年後にはその影響が出て、一人で元気にやれる人は別にして、孤立感や疎外感が強まり、生きづらい社会になってしまうと警鐘を鳴らしています。

 確かに、最近の葬儀も「家族葬」が大半になり、しかも「一日葬」が増えています。主イエスの時代の葬儀は、かつての私たちと同様に、みんなでその痛みを分かち合いました。そこには泣くことを職業とする女性がいて、関係者が大声をあげて存分に泣くことができました。今、あるやもめの一人息子が亡くなりました。彼女は夫と最愛の一人息子を亡くすという二重の試練の中にいたと思われます。主と弟子たちは、町の門から出て墓地に向かう彼ら一行に出会いました。主はこの母親を見て、憐れに思い(内臓が語源)、彼女に声をかけ、棺台に触れて(タブーで、汚れると恐れられた)、「若者よ、あなたに言う、起きなさい」(7:14)と言われました。こうして、若者は癒されたのです。人々は、「神はその民に心をかけてくださった」(同16)と神を賛美しました。 

 私たちも、この主イエスを信じて受け入れるなら、決して孤独ではありません。私たちの現実の中にも、主は来てくださり、声をかけてくださり、触れてくださり、回復させてくださると、聖書は私たちに語りかけているのです。