『十字架上の叫び』 マルコによる福音書15章33-41節
牧師 津村春英
ムンクの『叫び』は、デフォルメされた人が耳をふさぐほどの、自然を貫く叫び(心の叫び)を表現しているのだそうです。では、主イエスの「十字架上の叫び」は何だったのでしょうか。その答えは百人隊長の「本当に、この人は神の子だった」(15:39)にあります。主イエスの「エロイ、エロイ、レマ、サバクタニ。」(わが神、わが神、なぜわたしをお見捨てになったのですか)は、失望の言葉でなく、苦痛の極みからの恨み節でもなく、全ての人の罪を贖うための苦闘の叫びなのです。こうして、「人の子は…多くの人の身代金として自分の命を献げるために来た。」(10:45)が実現するのです。これが福音です。今日、私たちはこの百人隊長のように、主を受け入れることができますか。
御愛を忘れようとする わが魂にふたたび
十字架上で苦しむ キリストの御姿を見させたまえ
みもとを離れようとする わが魂にふたたび
十字架上から語る キリストの御言葉を聞かせたまえ
御心に背こうとする わが魂にふたたび
十字架上から落ちる キリストの御血潮を注ぎたまえ
水野源三「ふたたび」『み国をめざして』