「恵みを語り尽くすまで」 詩編71編16-21節
津村 春英 牧師
今日は敬老礼拝をささげています。詩編71篇は、「若き時より」(浅野順一『詩篇』岩波新書),「いや増す讃美」(A.ヴァイザー、ATD)、“Prayer in old age”(A. Cohen, Soncino Press)などと題が付けられています。「わが主よ、私はあなたの力によって進みます。/主よ、ひたすらあなたの正義だけをほめたたえます。」(71:16.共同訳)とありますが、「正義」は新共同訳では、「恵みの御業」と意訳され、それは主の救いと裁きを示し、神と人との関係を表しています。浅野は、「この詩には罪のざんげは語られていない。しかし自己の無力を嘆き、神に助けを呼び求めたこの詩人が神への賛美をしばしば口にしていることは興味深きことである。讃美なき祈願は真の祈願とはいえぬであろう、この詩はそのことを深く教えているように思われる。」(前掲、147頁)と書いています。「数えてみよ主の恵み」(新聖歌172)という歌がありますが、年長者ほど、主の恵みを多く数えることができるのではないでしょうか。
信仰者の最後の目的は何ですか。やがて、自分が安らかに眠ることですか。その前にすることがありませんか。今日のみ言葉、「わたしが老いて白髪になっても/神よ、どうか捨て去らないでください。御腕の業を、力強い御業を/来るべき世代に語り伝えさせてください。」(同18)、これではないですか。