「誰を恐れるべきか」 ルカによる福音書12章1-12節
津村春英牧師
米国とウクライナの両国首脳の対談は物別れに終わりました。ウクライナのゼレンスキー大統領は大国のトランプ大統領の激しい口調にもたじろぐことがありませんでした。好ましい結果ではありませんが、恐れることなく、毅然として対峙するゼレンスキー大統領が印象的でした。
主イエスは弟子たちにファリサイ派の偽善に注意しなさいと言われました。偽善(ヒュポクリシス)は古代ギリシア劇で仮面をかぶって演じる俳優(ヒュポクリテース)と同根で、前回の内側と外側の話(11:39)に通じています。彼らや、ユダヤ当局者たち、さらにローマ帝国を恐れることなく、「だれを恐れるべきか、教えよう。それは、殺した後で、地獄に投げ込む権威を持っている方だ。言っておくが、この方を恐れなさい。」(12:5)と主は言われました。
人生、いつも自分の思い通りになるわけではありません。いろいろな心配事があり、問題が生じ、悩んだり、恐れたりします。現在のウクライナが舞台と言われるミュージカル『屋根の上のヴァイオリン弾き』の主人公の敬虔なユダヤ人は、家族や民族の悲哀の中にあって、屋根の上で、神に向かってヴァイオリンを弾くのです。私たちも声高らかに歌いましょう。♪「一羽の雀さえ主は守りたもう」(新聖歌285, cf.12:6)と。